2008年、鑑賞した映画は31本。
『魍魎の匣』で始まり、『青い鳥』で締めくくるわけですが、後ろ姿のこの人をスクリーンで幾度もお見掛けした1年でありました。
映画の舞台は、東ヶ丘中学校。
学生が主役の映画は、花穂の実生活とかなり掛け離れてますからね、本来なら鑑賞対象外の映画なんですが。
映画の予告編で耳にした、主題歌に惹かれ映画館に足を運んだわけでして。
オープニング・テーマは、まきちゃんぐが歌う、『鋼の心』。
走るバスの車内で文庫本のページを捲る一人の男、生徒たちの登校風景と校舎に掲げられたベストフレンズ運動の看板、廊下に設置された“青い鳥BOX”と書かれた投書箱。
このオープニングの数分間の映像だけで、花穂の心は鷲掴みされまして(^^ゞ。
あとはもう、心の赴くまま、映画と向き合う1時間45分でありました。
家がコンビニを経営する野口君。クラスメートに「コンビニくん」とあだ名され、要求されるままに店の品を彼らに渡しておりました。そんな行為に耐え切れず前学期、遺書を残し自殺未遂を起こしてしまいます。野口は転校し、教師たちは一刻も早く事件を解決しようとし、生徒たちは野口とのことを忘れようとする。担任の教師は重圧から逃げるように休職し、代わりに赴任してきた臨時教師。それが阿部ちゃんなんですね。
臨時教師 村内(阿部寛)は、極度の吃音で、「先生は・・・ど、ど、どもります。あんまり、じょ、じょ、じょうずに、しゃべれません。で、でも、本気で、しゃ、しゃべります。だ、だからみんなも、本気で、き、聞いてください。本気の、こ、言葉を、本気で、き、聞くのは、当たり前の、ことです」と生徒に挨拶します。
3年B組 金八先生と同じ国語の教師の村内ですが吃音ゆえか、自分の行動に説明をつけたり、思いの丈を饒舌に語ることをしないんです。
がゆえに、村内の数少ない本気の一言一言が、やけに沁みるんです。
多弁を武器に世の中を渡っている花穂としたら、喉の奥がむず痒い
自殺未遂を起こした生徒と、いじめに加担した生徒。
いじめていたという意識は薄く、悪ノリの延長、調子に乗り過ぎた行為と、友達が遺書を残し自殺未遂を起こしたという結果。
ことの重さが、14歳の心にのしかかります。
いじめ側となった、2年1組の生徒 園部(本郷奏多)や井上(太賀)の心に、後悔してもなかったことに出来ない現実が暗い影を落とします。
花穂自身、自殺未遂を起こす側より、悪ノリタイプの人間ですからね
どうしても、人事として観られない
映画の中で中盤、村内(阿部寛)は、いじめに対し、「いじめは、ひとを、き、き、き、嫌うからいじめになるんじゃない。人数が、た、たくさんいるから、いじめになるんじゃない。人を踏みにじって、く、く、苦しめようと思ったり、く、く、苦しめてることに、き、き、気づかずに・・・苦しんでる、声を聞こうとしないのが・・・い、いじめなんだ」という言葉を口にします。
学校側は、生徒に反省文を強要します。
枚数は必ず5枚以上。どこからも文句が来ないよう、校長を筆頭にみんなでチェックをし、全ての生徒が合格と認められるまで反省文を書き直させるというやり方と、“青い鳥BOX”と書かれた投書箱を設置して、問題を終わりにしようとします。
後半、村内は園部に対し、“責任”という言葉を口にします。
「野口くんは忘れない、みんなの、こ、こと、恨むのか、憎むのか、許すのか、知らないけど、一生、ぜ、絶対に、忘れない」「みんなは、一生忘れないような、こ、ことを、野口くんに、したんだ。だ、だったら、みんなが、それを忘れるのって、ひきょうだろ?・・・野口くんの、こ、こと、忘れちゃ、だ、だめだ。野口くんにしたこと、忘れちゃ、だ、だめなんだ。それが、責任だ。つ、罪になっても、ならなくても、じ、自分のしたことに、せ、責任を取らなくちゃ、だ、だめなんだよ」
以前、犯罪を犯して少年院を出てきた子供が立ち直っていく過程を描いたテレビドラマの中で、保護司役の渡哲也さんが、同じような言葉を口にしていたことを思い出しました。
「自分のしてしまったことは、自分の一部だ。なかったことには出来ない。背負っていくしかない。忘れて元気になればいいってもんじゃない。謝って一から始めるなんてことは、出来ないんだ。したことは、したことだ!」
消えた年金、食品偽造、国民のために働かない政治家や官僚、子供の給食費を払えるのに払わない親とか、、、大人が聞いても耳が痛い。
“責任”という海よりも深い言葉を、今一度考える良い機会になりました。
ラストに流れるまきちゃんぐの、『さなぎ』がいつまでも耳に残ります。
映画は単館上映で、都内でも新宿武蔵野館とシネ・リーブル池袋と数少ない上映です。
地味な映画ではありますが、DVDが出た時に是非、手に取って欲しい、、、お薦めの1本です
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